水引草

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のちのおもひに 立原道造

夢はいつもかへつて行つた 山の麓のさびしい村に
水引草に風が立ち
草ひばりのうたひやまない
しづまりかへつた午さがりの林道を

うららかに青い空には陽がてり 火山は眠つてゐた
―― そして私は
見て来たものを 島々を 波を 岬を 日光月光を
だれもきいてゐないと知りながら 語りつづけた……

夢は そのさきには もうゆかない
なにもかも 忘れ果てようとおもひ
忘れつくしたことさへ 忘れてしまつたときには

夢は 真冬の追憶のうちに凍るであらう
そして それは戸をあけて 寂寥のなかに
星くづにてらされた道を過ぎ去るであらう

- 『萱草に寄す』より -



風に揺れる水引草を見ていると、メランコリックな気分になります。
タデ科の多年草。米粒くらいの深紅の花をよーく見てみると、名前の由来となっている水引の様に、赤と白に分かれているんですよ。

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